大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和44年(オ)1198号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人和田珍頼の上告理由第一点について。

商法五二六条は、その法文および立法趣旨から明らかなように、売主および買主の双方が商人である場合の売買契約に関する規定であると解すべきである。そして、本件自動車の売買契約においてはその買主である被上告人が商人であることを認めるべき証拠がないとした原審の判断は、本件記録に照らし、首肯することができないわけではない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は、右法条を正解しないで、独自の見解を主張するものにすぎず、採用することができない。

同第二点について。

本件自動車の車体後部のガラス窓部分における雨漏りの瑕疵は、上告人の再三にわたる修理の試みにもかかわらず、結局修理されないままに終つたとした原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠関係に照らして、肯認することができないわけではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の適法にした証拠の取捨判断および事実の認定を非難するに帰し、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩田誠 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 大隅健一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例